お腹にしこりができたハムスターの女の子【診断カルテ】

「最近、お腹に小さなしこりがあるんです…」
飼い主さんは不安そうに、8か月齢のジャンガリアンハムスターの女の子を連れて来院されました。川崎市麻生区からのご来院です。小さな体にできものができてしまったら、「大丈夫なのかな」「手術できるのかな」と心配になるのは当然です。

診察・検査

診察の結果、お腹に腫瘍(できもの)が確認されました。
細胞診(しぼうしん:腫瘍の一部を細い針で吸い取り顕微鏡で調べる検査)を行い、腫瘍の性質を確認しました。

診断

病理医による詳細な検査の結果、この腫瘍は「アポクリン腺腫(せんしゅ)」と呼ばれる良性腫瘍でした。アポクリン腺とは汗腺の一種で、ここから腫瘍が発生することがあります。幸いにも、血管やリンパ管の中に腫瘍が入り込む「脈管内浸潤」は認められませんでした。

治療

小動物の手術は体が小さいためリスクが伴いますが、全身麻酔には「イソフルレン」という吸入麻酔を用いて安全に配慮しました。
腫瘍を摘出した後は経過も良好で、術後は食欲も戻り、普段通り元気に動き回るようになりました。

予防・飼い主さんへのアドバイス

ハムスターは体が小さいため、ちょっとした異変でもすぐに進行してしまうことがあります。今回のように「しこりを早めに見つけて相談」していただけたことが、無事に手術と回復につながりました。
日頃から体を触って健康チェックをすること、食欲や行動の変化を見逃さないことが予防・早期発見につながります。

オダガワ動物病院のご案内

当院では犬猫だけでなく、ハムスターやウサギなど小動物の診療・手術にも対応しています。川崎市多摩区を中心に、麻生区・稲城市・登戸など近隣地域からも多くの飼い主さまにご来院いただいております。
「小さな体に負担をかけない医療」を心がけ、飼い主さまと一緒に最善の治療方法を考えてまいります。

気になる症状や不安があれば、お早めにご相談ください。

この記事を書いた人

鈴木 透

1959年生まれ。 1984年に北里大学獣医畜産学部獣医学科を卒業。学生時代から動物の病気や治療に強い関心を持ち、獣医師としての知識と技術を深めるべく、1986年には同大学大学院獣医畜産学部獣医学専攻を修了。大学院では小動物の臨床研究に携わり、実践的な診療スキルと基礎医学の両面から専門性を高めた。 その後、日本獣医生命科学大学にて研究生として在籍し、さらに高度な専門知識と研究経験を積む。臨床現場と学術の両方での経験を活かし、1991年、地域に根ざした獣医療を提供するために「オダガワ動物病院」を開設。以降、30年以上にわたり、飼い主と動物の信頼関係を大切にした診療を心がけ、多くの症例と向き合ってきた。