食欲が落ちたうさぎ(ネザーランドドワーフ)|診断カルテ

食欲不振を理由にご来院

「最近、ごはんを食べる量が減ってきたな…」
2歳になるネザーランドドワーフの飼い主さんは、そんな小さな変化に不安を覚えて来院されました。1か月以上も食欲が落ちているとのこと。見た目は元気そうなのに、ペレットや牧草の減りが少ない。飼い主としてはとても心配な状況です。

ネザーランドドワーフは丸い顔立ちが人気ですが、その体型的特徴から歯のトラブルが起きやすい傾向があります。今回は「臼歯の過長(きょちょう)」と呼ばれる病気が原因でした。

検査と診断

来院時の身体検査では特に異常は見られず、麻酔前の血液検査・生化学検査も正常でした。
しかし口腔内を詳しく確認すると、臼歯が通常よりも伸びすぎており(過長)、舌には潰瘍(粘膜にできる傷)ができていました。

うさぎの歯は一生伸び続ける構造で、1か月に約4mmも伸びると言われています。本症例の場合、長い期間にわたって臼歯が過長になっていたと推測されます。

治療と処置

安全のため吸入麻酔(イソフルラン)を使用し、過長部分の臼歯をウサギ専用の器具で切除。その後、マイクロモーターで歯を整えました。
処置後はスムーズに食べやすい状態に戻すことができました。

予防と日常ケア

臼歯の過長を防ぐために大切なのが、毎日の食事です。
うさぎの歯は上下をすり合わせることで適切な長さに保たれます。そのため、牧草を主食としてしっかり咀嚼する習慣が最も有効な予防策です。

これにより、歯の伸びすぎや不正咬合を防ぐことができます。

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まとめ

今回の症例では「臼歯の過長」が原因で食欲不振が起こっていました。うさぎは症状を隠す動物であるため、飼い主が「食欲の低下」という小さなサインを見逃さないことが非常に重要です。

「食べる量が減った」「口元を気にしている」「よだれが多い」などの変化に気づいたら、早めに動物病院での診察をおすすめします。

オダガワ動物病院では、犬猫だけでなくウサギ・小鳥・フェレットなどエキゾチックアニマルの診療にも対応しています。歯や口腔内のトラブルについても専門的な検査・処置を行い、飼い主様に安心していただける診療を心がけています。

愛兎のちょっとした変化に気づいたら、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

鈴木 透

1959年生まれ。 1984年に北里大学獣医畜産学部獣医学科を卒業。学生時代から動物の病気や治療に強い関心を持ち、獣医師としての知識と技術を深めるべく、1986年には同大学大学院獣医畜産学部獣医学専攻を修了。大学院では小動物の臨床研究に携わり、実践的な診療スキルと基礎医学の両面から専門性を高めた。 その後、日本獣医生命科学大学にて研究生として在籍し、さらに高度な専門知識と研究経験を積む。臨床現場と学術の両方での経験を活かし、1991年、地域に根ざした獣医療を提供するために「オダガワ動物病院」を開設。以降、30年以上にわたり、飼い主と動物の信頼関係を大切にした診療を心がけ、多くの症例と向き合ってきた。