犬の元気がない時に飼い主が知っておくべきこと|原因・対処法・受診の目安を獣医師が解説

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「いつも元気に尻尾を振って迎えてくれる愛犬が、今日はなんだか元気がない…」そんなとき、飼い主様はとても心配になるものです。いつもと違う様子に気づいたとき、それが単なる疲れなのか、それとも病気のサインなのか、判断に迷うこともあるでしょう。

犬は言葉で体調を伝えることができません。だからこそ、飼い主様が愛犬の小さな変化に気づき、適切に対応することが何よりも大切です。元気がないという状態は、実にさまざまな原因によって引き起こされます。一時的な疲労やストレスで数時間休めば回復することもあれば、命に関わる重大な病気が隠れていることもあるのです。

この記事では、獣医師の立場から、犬が元気のないときに考えられる原因を詳しく解説していきます。どのような症状が危険信号なのか、自宅で様子を見てもよいケースと、すぐに動物病院を受診すべきケースの見分け方についてもご紹介します。また、家庭でできる応急ケアや、日常的に気をつけたいポイントについてもお伝えします。

愛犬の健康を守るために、正しい知識を持って冷静に対応することが大切です。この記事が、飼い主様と愛犬の安心につながれば幸いです。

目次

犬が元気ないときにまず確認したいこと

愛犬の元気がないと感じたとき、まず落ち着いて観察することが重要です。感情的になって慌ててしまうと、大切な変化を見逃してしまう可能性があります。

食欲の有無をチェック

食欲の状態を確認しましょう。いつものフードやおやつに対する反応はどうでしょうか。全く食べない、においを嗅ぐだけで食べない、少しだけ食べるといった違いによって、状態の深刻さを推測することができます。完全に食欲がない場合は、より緊急性が高いと考えられます。

排泄の状態を確認する

排泄の様子も重要な指標です。おしっこやうんちは普段通りに出ているでしょうか。下痢や嘔吐はないでしょうか。排尿の回数が増えた、あるいは全く出ていない、便の色や硬さがいつもと違うといった変化があれば、消化器系や泌尿器系のトラブルが考えられます。

歩き方・動きの異常を観察する

歩き方や動きにも注目してください。立ち上がるのを嫌がる、足を引きずる、階段の昇り降りを避けるといった様子が見られたら、関節や筋肉、骨に問題がある可能性があります。また、ふらついたり、まっすぐ歩けなかったりする場合は、神経系の異常も疑われます。

呼吸の様子を確認する

呼吸の状態を観察することも大切です。安静時の呼吸が速い、荒い、苦しそうにしているといった様子は、心臓や肺の問題を示唆します。健康な犬の安静時呼吸数は、1分間に15回から30回程度です。これより明らかに多い、あるいは呼吸が浅く速い場合は注意が必要です。

体温の異常をチェック

体温も可能であれば測定してみましょう。犬の正常体温は38度から39度です。これより高い場合は発熱、低い場合は低体温症の可能性があります。体温計がない場合でも、耳や体を触って普段より熱く感じる、あるいは冷たく感じるといった変化に気づくことができます。

目や表情の変化を見る

表情や目の様子も見てみましょう。目に力がない、虚ろな表情をしている、目の色が黄色っぽい、目ヤニが多いといった変化は、全身状態の悪化を示すことがあります。歯茎の色も重要で、正常であればピンク色ですが、白っぽい、紫がかっている、黄色いといった場合は貧血や黄疸、循環不全などが考えられます。

一時的な疲れ・ストレスとの見分け方

一時的な疲れやストレスとの見分け方も知っておく必要があります。長時間の散歩やドッグランで遊んだ後、暑い日に外出した後などは、健康な犬でも一時的にぐったりすることがあります。こうした場合は、水を飲んで涼しい場所で休めば、数時間以内に元気を取り戻すことがほとんどです。

また、来客や環境の変化、雷や花火などの大きな音といったストレス要因があった場合も、一時的に元気がなくなることがあります。この場合も、ストレス要因がなくなれば、比較的短時間で通常の状態に戻ります。

元気がない状態が続く時間で判断する

元気がない状態がどのくらい続くと危険なのかという点については、一般的な目安があります。数時間程度で回復し、食欲もあり、排泄も正常であれば、自宅で様子を見ても問題ない場合が多いです。しかし、丸一日以上元気がない状態が続く、食欲が戻らない、他の症状も出てきたという場合は、動物病院での診察が必要です。

特に、子犬や老犬の場合は、成犬に比べて体力がなく、急激に状態が悪化することがあります。こうした年齢の犬では、より慎重に観察し、少しでも心配な点があれば早めに受診することをおすすめします。

犬が元気ないときに考えられる主な原因

1. 一時的な疲労やストレス

犬が元気のない原因として最も多いのが、一時的な疲労やストレスです。人間と同じように、犬も疲れれば休息が必要になります。

長時間の散歩や激しい運動をした後は、犬も疲労します。特に普段あまり運動していない犬が急に長距離を歩いたり、ドッグランで長時間走り回ったりすると、翌日に筋肉痛や疲労感が残ることがあります。この場合、十分な休息と水分補給によって、通常は24時間以内に回復します。

気温の変化も犬の体調に大きく影響します。夏の暑い日に外出すると、熱中症の手前の状態で体力を消耗することがあります。反対に、冬の寒い日の散歩でも、寒さに耐えるためにエネルギーを使い、帰宅後にぐったりすることがあります。特に短毛種や小型犬、老犬は体温調節が苦手なため、気温の影響を受けやすい傾向があります。

来客や引っ越し、家族構成の変化といった環境の変化も、犬にとって大きなストレス要因です。犬は習慣を好む動物であり、日常のルーティンが乱れるとストレスを感じます。知らない人が家に来る、いつもと違う場所で寝る、飼い主の生活リズムが変わるといった出来事によって、一時的に食欲が落ちたり、元気がなくなったりすることがあります。

こうした一時的な疲労やストレスによる元気のなさは、原因が取り除かれれば自然に回復します。静かな環境で十分に休ませ、新鮮な水を用意し、無理に食べさせようとせず見守ることが基本です。数時間から一晩休めば元気を取り戻すことがほとんどです。

ただし、休息をとっても回復しない、日に日に悪化している、他の症状も出てきたという場合は、単なる疲労ではない可能性があります。そのときは、他の原因を考える必要があります。

2. 風邪や感染症

犬にも風邪のような症状を起こす感染症があります。正確には「犬風邪」という病名はありませんが、ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)やインフルエンザウイルス感染症など、呼吸器系の感染症によって風邪に似た症状が現れます。

咳、鼻水、くしゃみといった症状が典型的です。軽度の場合は、人間の風邪と同じように、数日で自然に回復することもあります。しかし、症状が重くなると、発熱、食欲不振、元気消失といった全身症状が現れます。

ケンネルコフは特に、ペットホテルやドッグラン、トリミングサロンなど、多くの犬が集まる場所で感染しやすい病気です。ウイルスや細菌が混合感染することが多く、一頭が感染すると周囲の犬にも広がりやすい特徴があります。そのため、多頭飼いの家庭では、一頭が症状を示したら他の犬への感染予防も考える必要があります。

犬インフルエンザも近年注目されている感染症です。発熱、咳、鼻水に加えて、肺炎を起こすこともあり、重症化すると命に関わることもあります。特に子犬や老犬、免疫力の低下した犬では注意が必要です。

家庭で様子を見てもよいケースは、軽い咳や鼻水程度で、食欲があり、元気もそれほど落ちていない場合です。この場合は、暖かく静かな環境で休ませ、水分補給をしっかり行い、数日間様子を観察します。

一方、病院受診を検討すべきケースは、咳が激しく止まらない、呼吸が苦しそう、発熱がある、食欲が全くない、ぐったりしているといった場合です。また、子犬や老犬、持病のある犬では、軽い症状でも早めに受診することが推奨されます。

感染症の予防には、適切なワクチン接種が有効です。混合ワクチンには、ケンネルコフの原因となる病原体に対する成分も含まれています。定期的なワクチン接種によって、感染のリスクを大きく減らすことができます。

3. 消化器のトラブル

犬が元気をなくす原因として非常に多いのが、消化器系のトラブルです。胃腸の不調は、犬の全身状態に大きく影響します。

食欲不振は消化器トラブルの最も分かりやすいサインです。いつものフードに興味を示さない、においを嗅ぐだけで食べないといった様子が見られたら、胃腸に何らかの問題がある可能性を考えます。下痢や嘔吐を伴う場合は、さらに可能性が高まります。

フードの急な変更は、胃腸に負担をかけることがあります。新しいフードに切り替える際は、1週間から10日かけて徐々に混ぜる割合を増やしていくのが基本ですが、これを急に行うと消化不良を起こし、下痢や嘔吐、食欲不振につながります。

誤飲も重大な問題です。犬は好奇心が強く、食べ物でないものを飲み込んでしまうことがあります。おもちゃの破片、靴下、串、石、中毒性のある植物など、さまざまなものが誤飲の対象となります。誤飲したものが胃や腸に詰まると、腸閉塞を起こし、激しい嘔吐、腹痛、元気消失といった症状が現れます。

胃腸炎は、ウイルスや細菌、寄生虫などの感染、食べ過ぎ、ストレスなどさまざまな原因で起こります。急性胃腸炎では、突然の嘔吐や下痢が見られ、脱水症状を起こすことがあります。慢性的な胃腸炎では、長期間にわたって食欲不振や軟便が続き、体重減少や栄養不良につながります。

膵炎も見逃せない疾患です。膵臓は消化酵素を分泌する臓器で、ここに炎症が起こると激しい腹痛、嘔吐、食欲不振、元気消失が見られます。特に脂肪分の多い食事の後に発症しやすく、重症化すると命に関わることもあります。

消化器トラブルが疑われる場合、自宅でできる対応は限られています。軽度の下痢で元気と食欲がある場合は、半日から一日程度、絶食させて胃腸を休ませることが有効なこともあります。ただし、水分補給は必ず行い、脱水を防ぐことが重要です。

嘔吐が続く、血便が出る、激しい腹痛がある、ぐったりしているといった場合は、すぐに動物病院を受診してください。特に誤飲が疑われる場合は、緊急性が高いため、速やかに受診する必要があります。

4. 痛みやケガ

犬が元気をなくす原因として、体のどこかに痛みがあるケースも非常に多く見られます。痛みがあると、犬は動きたがらなくなり、じっとしていることが増えます。

関節炎は、特に中高齢の犬でよく見られます。関節の軟骨がすり減り、骨同士が直接触れることで炎症と痛みが生じます。朝起きたときや、長時間休んだ後に立ち上がるのを嫌がる、階段の昇り降りを避ける、散歩を嫌がるといった様子が見られます。寒い日や雨の日に症状が悪化することもあります。

腰痛や椎間板疾患も犬によく見られる問題です。特にダックスフンドやコーギーといった胴長犬種では、椎間板ヘルニアのリスクが高く、突然の激しい痛みや麻痺を起こすことがあります。背中を触ると嫌がる、抱き上げようとすると鳴く、後ろ足を引きずるといった症状が特徴的です。

骨折や打撲といった外傷も、元気消失の原因となります。高い場所から落ちた、交通事故に遭った、他の犬とケンカをしたといった明らかな外傷の原因がある場合は分かりやすいのですが、些細なことで骨折することもあります。特に小型犬や老犬では、ソファから飛び降りただけで骨折することもあるため注意が必要です。

歯の痛みも見落とされがちですが、重要な問題です。歯周病や歯の破折によって痛みが生じると、食欲が落ちたり、元気がなくなったりします。口臭がひどい、よだれが多い、食べ方がおかしい(片側だけで噛む、食べこぼすなど)といった様子が見られたら、口の中のトラブルを疑います。

痛みやケガが原因で元気がない場合、犬は触られるのを嫌がることが多いです。普段は大人しい犬が急に攻撃的になる、特定の部位を触ると鳴く、逃げるといった行動は、その部位に痛みがあることを示しています。無理に触ろうとせず、どの部位を嫌がるのかを観察し、動物病院で伝えることが重要です。

痛みが疑われる場合は、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。痛みは犬にとって大きなストレスであり、生活の質を著しく低下させます。適切な診断と治療によって痛みを取り除くことが、元気を取り戻す第一歩です。

5. 神経や脳の異常

神経系や脳の異常は、犬が突然元気をなくす重大な原因の一つです。これらの問題は緊急性が高いことが多く、迅速な対応が求められます。

急に立てなくなった、足に力が入らないといった症状は、脊髄や神経の損傷を示唆します。椎間板ヘルニアが重症化すると、後ろ足の麻痺が起こり、排尿や排便のコントロールもできなくなります。この状態を放置すると、永続的な麻痺が残る可能性があるため、緊急の治療が必要です。

ふらつきや平衡感覚の喪失も、脳や内耳の問題を示すことがあります。前庭疾患という病気では、犬が頭を傾けたまま真っすぐ歩けなくなったり、目が左右に揺れたりします。原因は内耳の感染症、脳腫瘍、脳血管障害などさまざまです。

けいれん発作は、脳の異常な電気活動によって起こります。てんかんが最も一般的な原因ですが、低血糖、中毒、脳腫瘍、脳炎なども原因となります。けいれん発作後、犬は一時的に意識が朦朧とし、ぐったりすることがあります。これを発作後状態といい、数分から数時間続くことがあります。

中毒も神経症状を引き起こします。チョコレート、玉ねぎ、キシリトール、殺虫剤、除草剤など、犬にとって有毒な物質は数多くあります。中毒が起こると、嘔吐、下痢、震え、けいれん、意識障害といった症状が現れ、迅速に治療しなければ命に関わります。

脳腫瘍や脳炎といった重篤な疾患も、元気消失の原因となります。これらの病気では、徐々に症状が進行することもあれば、突然重い症状が現れることもあります。行動の変化、けいれん、視覚障害、歩行異常などが見られます。

神経や脳の異常が疑われる症状が見られた場合は、時間を置かずに動物病院を受診してください。これらの問題は時間との勝負であり、早期の診断と治療が予後を大きく左右します。

6. 震えを伴う場合

犬が元気がなく、さらに震えている場合、その原因は非常に多岐にわたります。震えは犬が何らかの不快感や異常を感じているサインであり、注意深く観察する必要があります。

寒さによる震えは最も単純な原因です。特に小型犬、短毛種、子犬、老犬は体温調節が苦手で、室温が低いと震えます。暖かい場所に移動させたり、毛布をかけたりすることで震えが止まれば、心配ありません。

不安や恐怖も震えの原因となります。雷や花火の音、動物病院への恐怖、知らない人や犬への警戒など、ストレスを感じると犬は震えることがあります。この場合、ストレス要因を取り除き、安心できる環境を提供することで改善します。

痛みによる震えも重要です。腹痛、関節痛、外傷などによる痛みがあると、犬は体を震わせることがあります。痛みによる震えの場合、触られるのを嫌がる、特定の姿勢を避ける、鳴くといった他の症状も伴うことが多いです。

低血糖は、特に小型犬や子犬で注意が必要な状態です。長時間食事をとっていない、激しい運動をした後などに血糖値が下がると、震え、ふらつき、意識障害といった症状が現れます。重症化すると命に関わるため、早急な対応が必要です。

てんかんの前兆や軽度の発作として震えが見られることもあります。全身性のけいれん発作に至る前に、部分的な震えや筋肉のぴくつきが見られることがあります。

中毒による震えも緊急性の高い状態です。有毒物質を摂取した場合、神経系に影響が及び、震えやけいれんが起こります。何か変なものを食べた可能性がある場合は、すぐに動物病院に連絡してください。

小型犬は特に震えやすい傾向があります。チワワやトイプードルなどの超小型犬は、興奮しただけでも震えることがあり、必ずしも病気とは限りません。しかし、普段震えない犬が震える、震えが止まらない、他の症状も伴うといった場合は、何らかの異常があると考えるべきです。

高齢犬の震えは、筋力の低下や神経系の老化によることもあります。しかし、老齢だからと放置せず、痛みや病気が隠れていないか確認することが大切です。

震えを伴う元気のなさは、単なる寒がりや臆病というだけでなく、重大な病気のサインである可能性もあります。震えの原因を見極め、必要に応じて速やかに受診することが重要です。

元気がない+症状別の危険度チェック

犬の元気がないとき、他にどんな症状が見られるかによって、緊急性が大きく異なります。以下に、症状別の危険度と受診の目安をまとめます。

軽度(経過観察でよいケース)

半日程度で回復し、食欲もある場合は、危険度は低いと考えられます。一時的な疲労やストレスの可能性が高く、自宅で経過観察をしても問題ないことがほとんどです。ただし、完全に元気を取り戻すまで注意深く見守り、悪化の兆候がないか確認しましょう。

注意レベル(翌日までに受診を検討)

食欲不振が一日以上続く場合は、注意が必要です。犬は健康であれば食欲が旺盛な動物であり、丸一日食事をとらないというのは異常な状態です。翌日までに動物病院への受診を検討しましょう。特に子犬や小型犬では、絶食による低血糖のリスクがあるため、より早めの対応が必要です。

警戒レベル(当日中の受診が望ましい)

嘔吐、下痢、震え、発熱のいずれかが見られる場合は、危険度が高まります。これらは全身状態の悪化を示すサインであり、できるだけ早く、可能であれば当日中に受診することをおすすめします。脱水や電解質異常が進行すると、状態が急速に悪化する可能性があります。

緊急レベル(直ちに受診が必要)

立てない、ぐったりしている、呼吸が荒いといった症状が見られる場合は、非常に危険な状態です。緊急性が高く、直ちに動物病院を受診する必要があります。夜間や休日であれば、救急対応を行っている動物病院を探して連絡してください。これらの症状は、ショック状態、重度の感染症、中毒、内臓の重大な障害などを示唆します。

歯茎の色で分かる危険サイン

歯茎の色も重要な指標です。正常であればピンク色ですが、白っぽい場合は貧血やショック、紫がかっている場合は酸素不足、黄色い場合は黄疸の可能性があります。いずれも緊急性の高い状態です。

意識・反応の異常

意識レベルにも注意しましょう。名前を呼んでも反応が鈍い、目の焦点が合わない、意識が朦朧としているといった場合は、脳や神経系の重大な問題、あるいは全身状態の著しい悪化を示します。

体温の異常も見逃せない

体温の異常も危険なサインです。40度以上の高熱、あるいは37度以下の低体温は、いずれも生命を脅かす状態である可能性があります。

これらの危険度は一般的な目安であり、個々の犬の状態、年齢、持病の有無などによって判断が変わることもあります。迷ったときは、動物病院に電話で相談することをおすすめします。多くの動物病院では、電話での相談に応じてくれますし、緊急性があるかどうかのアドバイスをもらうことができます。

自宅でできる応急ケア

動物病院を受診するまでの間、あるいは様子を見ると決めた場合、自宅で適切なケアを行うことが重要です。

1. まずは水分補給を確保する

水分補給は最も基本的で重要なケアです。犬が自分で水を飲めるようであれば、新鮮な水をいつでも飲めるように用意しておきましょう。嘔吐や下痢がある場合は、脱水が進みやすいため、特に注意が必要です。ただし、嘔吐が続いている場合は、一時的に水を与えるのを控え、胃を休ませることも必要です。獣医師に相談して指示を仰ぎましょう。

2. 室温を適切に保つ

室温管理も重要です。夏場は涼しい環境を確保し、熱中症を予防します。エアコンを使用し、室温を25度前後に保つことが理想です。冬場は暖かく保ち、毛布やペット用ヒーターで体温を維持します。ただし、低温やけどに注意し、ヒーターは適切に使用しましょう。

3. 静かで落ち着ける環境を作る

安静な環境を整えることも大切です。静かで落ち着ける場所に寝床を用意し、人の出入りを最小限にして、犬がゆっくり休めるようにします。小さな子供やほかのペットがいる場合は、病気の犬を別の部屋で休ませることも検討しましょう。

4. 無理に食べさせない

無理に食べさせないことも重要です。食欲がないときに無理に食事を与えると、嘔吐を誘発したり、消化器に負担をかけたりすることがあります。胃腸を休ませることが回復につながる場合もあります。ただし、長時間の絶食は体力を消耗させるため、12時間から24時間以上食べない場合は獣医師に相談しましょう。

5. 人間用の薬は絶対に与えない

市販の人間用の薬を与えることは絶対に避けてください。人間用の解熱剤、痛み止め、胃薬などは、犬にとって毒性があることがあります。特にアセトアミノフェンやイブプロフェンといった成分は、犬には非常に危険です。薬が必要な場合は、必ず獣医師の診察を受け、適切な処方を受けましょう。

6. 症状や行動を記録しておく

症状や行動を記録しておくことも、非常に重要な応急ケアの一つです。いつから元気がなくなったのか、食事や水を最後にとったのはいつか、嘔吐や下痢があった場合はその回数や内容、排尿の回数や色、体温の変化、呼吸の様子など、できるだけ詳しくメモしておきましょう。可能であれば、症状の様子を動画で撮影しておくと、診察時に獣医師に正確な情報を伝えることができます。

7. 嘔吐物・便の写真やサンプルを持参する

嘔吐物や便の異常が見られた場合は、写真を撮っておくか、少量をビニール袋に入れて持参することも有効です。血液の混入、異物の有無、色や形状などの情報は、診断の重要な手がかりとなります。

8. 誤飲の可能性がある場合の対応

誤飲が疑われる場合は、何を食べた可能性があるか、いつ頃食べたかを把握しておきましょう。商品のパッケージや成分表があれば、それも持参します。中毒物質によって治療法が異なるため、原因物質の特定が非常に重要です。

9. 体温を穏やかに調整する

体を温めすぎたり冷やしすぎたりしないよう注意しましょう。発熱がある場合でも、氷水で急激に冷やすことは避けてください。逆に、低体温の場合でも、熱湯を入れた湯たんぽを直接当てるとやけどのリスクがあります。常温の水で濡らしたタオルで体を拭く、毛布で包むなど、穏やかな方法で体温を調整しましょう。

10. 呼吸が苦しそうな場合の姿勢

呼吸が苦しそうな場合は、首輪やハーネスを緩めて、呼吸しやすい姿勢を保たせます。横向きに寝かせるよりも、前足を伸ばして胸を床につけない姿勢(伏せの姿勢で前足を前に出した状態)の方が呼吸しやすいことがあります。

11. けいれんが起きたときの対応

けいれんが起きた場合は、慌てずに周囲の危険物を取り除き、犬が怪我をしないようにします。舌を噛まないようにと口の中に手や物を入れることは絶対に避けてください。けいれん中は意識がないため、噛まれる危険があります。けいれんの時間を計測し、様子を記録しておきましょう。

12. 応急ケアはあくまで一時対応

ただし、これらの応急ケアはあくまで一時的な対応であり、本格的な治療の代わりになるものではありません。状態が改善しない、あるいは悪化する場合は、速やかに動物病院を受診してください。

動物病院に行くべきタイミング

犬の元気がないとき、自宅で様子を見るか動物病院を受診するか、判断に迷うことがあります。ここでは、受診すべき具体的なタイミングについて解説します。

1. 24時間経っても改善しない場合は受診を検討

24時間以内に改善が見られない場合は、受診を検討しましょう。一時的な疲労やストレスであれば、十分な休息によって半日から一日で回復することがほとんどです。それを過ぎても元気が戻らない、あるいは悪化している場合は、何らかの病気が隠れている可能性が高まります。

2. 他の症状を伴う場合は当日中に受診

「元気がない」に加えて、他の症状が組み合わさっている場合は、より早い受診が必要です。食べない、吐く、震える、下痢をしているといった症状が一つでも加わった場合は、当日中の受診を検討してください。特に、これらの症状が複数重なっている場合は、緊急性が高いと考えられます。

3. 子犬・老犬は特に慎重に判断を

子犬や老犬の場合は、成犬よりも慎重な判断が求められます。子犬は体力がなく、低血糖や脱水が急速に進行することがあります。数時間食事をとらない、ぐったりしているといった状態が見られたら、早めに受診しましょう。老犬も免疫力や回復力が低下しているため、軽い症状でも重症化しやすい傾向があります。

4. 持病のある犬は早めにかかりつけ医へ

持病がある犬も注意が必要です。心臓病、腎臓病、糖尿病、てんかんなどの持病を持つ犬は、ちょっとした体調不良でも持病が悪化するリスクがあります。普段と違う様子が見られたら、かかりつけの獣医師に相談しましょう。

5. 季節・気候による体調不良も要注意

季節や気候も判断材料になります。夏場で熱中症が疑われる場合、冬場で低体温症が疑われる場合は、速やかに受診してください。これらは時間が経つほど重症化し、後遺症が残ったり命に関わったりすることがあります。

6. 飼い主の「直感」を信じてよい

飼い主様の直感も大切にしてください。「何かいつもと違う」「様子がおかしい」という感覚は、日々愛犬と接している飼い主様だからこそ気づけるものです。明確な症状がなくても、どうしても心配な場合は、動物病院に電話で相談してみましょう。

獣医師が診察で確認するポイント

獣医師が診断時に見るポイントは多岐にわたります。まず、全身の観察から始めます。歩き方、姿勢、表情、目の輝き、被毛の状態などを総合的に評価します。次に、体温、心拍数、呼吸数といったバイタルサインを測定します。

口腔内や歯茎の色も重要なチェックポイントです。ピンク色が正常で、白っぽい、紫がかっている、黄色いといった変化は、それぞれ貧血、酸素不足、黄疸を示唆します。毛細血管再充満時間(歯茎を指で押して、色が戻るまでの時間)も、循環状態を評価する指標です。

腹部の触診では、痛みの有無、臓器の腫れ、腹水の有無などを確認します。リンパ節の腫れ、関節の可動域、筋肉の緊張なども丁寧にチェックします。聴診では、心音の異常(雑音、不整脈)、肺の異常音(喘鳴、湿性ラ音)などを聴き取ります。

これらの基本的な診察に加えて、必要に応じて血液検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査などを行い、より詳しく原因を特定していきます。

動物病院での検査と治療

動物病院では、犬の元気がない原因を特定するため、さまざまな検査を行います。

1. 血液検査:全身状態を把握する基本検査

血液検査は最も基本的で重要な検査の一つです。赤血球、白血球、血小板の数を調べることで、貧血、感染症、出血傾向などを評価します。また、肝臓、腎臓、膵臓などの臓器の機能を示す数値、血糖値、電解質バランスなども測定します。これらの結果から、内臓疾患の有無や重症度を判断することができます。

2. レントゲン検査:臓器や骨格の異常を確認

レントゲン検査では、胸部や腹部の臓器の形や大きさ、異物の有無、骨や関節の異常などを確認します。心臓の肥大、肺炎、腫瘍、腸閉塞、骨折などを発見することができます。レントゲン検査は短時間で行え、犬への負担も少ないため、多くの場合で実施されます。

3. 超音波(エコー)検査:臓器内部を詳細に観察

超音波検査は、臓器の内部構造をより詳しく観察できる検査です。心臓の動き、肝臓や脾臓の腫瘍、膀胱結石、妊娠の確認などに有効です。レントゲンでは見えにくい軟部組織の異常を発見できることが利点です。

4. 尿検査:腎臓や泌尿器系の健康を確認

尿検査では、腎臓の機能、尿路感染症、糖尿病、結石の有無などを評価します。尿の色、濃度、pH、蛋白や糖の有無などを調べ、泌尿器系の健康状態を把握します。

5. 糞便検査:消化器の状態をチェック

糞便検査は、消化器症状がある場合に行います。寄生虫の卵や成虫、細菌の異常増殖、消化不良の有無などを確認します。下痢が続く場合には重要な検査です。

検査結果に基づく主な治療内容

これらの検査結果に基づいて、原因に応じた治療が開始されます。

1. 脱水時の点滴治療

脱水が見られる場合は、点滴による水分と電解質の補給を行います。皮下点滴または静脈点滴によって、体内の水分バランスを迅速に回復させることができます。重度の脱水や電解質異常がある場合は、入院治療が必要になることもあります。

2. 感染症の治療

感染症が原因の場合は、抗生剤や抗ウイルス薬を投与します。細菌感染には適切な抗生物質を選択し、必要な期間しっかりと投薬することが重要です。ウイルス感染の場合は、特効薬がないことも多いため、対症療法と免疫力のサポートが治療の中心となります。

3. 痛みのコントロール

痛みがある場合は、消炎鎮痛薬を使用します。関節炎、外傷、術後の痛みなど、痛みの原因と程度に応じて適切な薬を選択します。痛みを取り除くことで、犬の活動性や食欲が改善し、回復が促進されます。

4. 消化器症状への対応

消化器症状に対しては、制吐薬、整腸剤、胃粘膜保護剤などを使用します。また、消化器に優しい処方食を勧めることもあります。重度の嘔吐や下痢がある場合は、絶食期間を設けて胃腸を休ませることも重要です。

5. ホルモン異常の治療

ホルモン異常が見つかった場合は、ホルモン補充療法や甲状腺機能を調整する薬などを使用します。糖尿病の場合はインスリン注射、クッシング症候群の場合は副腎皮質ホルモンを抑制する薬など、疾患に応じた治療を行います。

6. 腫瘍に対する治療

腫瘍が見つかった場合は、外科手術、化学療法、放射線療法などの選択肢について相談します。腫瘍の種類、場所、進行度、犬の年齢や全身状態などを総合的に判断して、最適な治療計画を立てます。

7. 誤飲・異物による腸閉塞の対応

誤飲による腸閉塞が確認された場合は、緊急手術が必要になることもあります。早期に発見されれば、内視鏡による摘出や催吐処置で対応できることもあります。

診断を受けることで、漠然とした「元気がない」という状態の背景にある具体的な原因が明らかになり、適切な治療によって早期回復につながります。また、重大な病気の早期発見は、予後を大きく改善することができます。

再発防止・日常ケアのポイント

愛犬が元気を取り戻した後は、同じ問題が再発しないよう、日常的なケアと予防に努めることが大切です。

1. 栄養バランスのとれた食事を意識する

栄養バランスのとれた食事は、健康の基本です。犬の年齢、体格、活動量に応じた適切なフードを選びましょう。総合栄養食の表示があるフードは、犬に必要な栄養素がバランスよく含まれています。手作り食を与える場合は、栄養バランスが偏らないよう注意が必要です。獣医師や動物栄養士に相談して、適切なレシピを作成することをおすすめします。

2. おやつは控えめに

おやつの与えすぎにも注意しましょう。おやつは一日の総カロリーの10パーセント以内に抑えることが推奨されています。人間の食べ物は、塩分や脂肪分が多すぎたり、犬にとって有害な成分が含まれていたりすることがあるため、基本的には避けるべきです。

3. 定期的な健康診断で早期発見を

定期的な健康診断も非常に重要です。年に一度、少なくとも血液検査を含む健康診断を受けることで、病気の早期発見につながります。特に7歳以上のシニア犬では、年に二回の健康診断が推奨されます。加齢とともに心臓病、腎臓病、腫瘍などのリスクが高まるため、定期的なチェックが欠かせません。

4. ワクチンと寄生虫予防を欠かさない

ワクチン接種と寄生虫予防も忘れずに行いましょう。混合ワクチンは感染症から愛犬を守るために必要です。また、フィラリア予防、ノミ・マダニ駆除も定期的に実施しましょう。これらの予防により、多くの病気を未然に防ぐことができます。

5. 適度な運動で体力とストレスを管理

適度な運動は、肉体的にも精神的にも健康を維持するために重要です。犬種や年齢に応じた運動量を確保しましょう。小型犬でも毎日の散歩は必要であり、大型犬や活動的な犬種ではより多くの運動が求められます。ただし、暑い日や寒い日は時間帯や距離を調整し、無理のない範囲で行いましょう。

6. 気温・湿度の管理を忘れずに

気温や湿度の管理も大切です。夏場は熱中症に注意し、エアコンで室温を適切に保ちます。散歩は早朝や夕方の涼しい時間帯に行い、アスファルトの熱さにも注意しましょう。冬場は寒さ対策として、室内を暖かく保ち、小型犬や短毛種には服を着せることも検討します。

7. ストレスを減らす生活環境をつくる

ストレス管理も健康維持に欠かせません。規則正しい生活リズムを保ち、急激な環境変化は避けましょう。引っ越しや家族構成の変化など、避けられない変化がある場合は、徐々に慣らしていく配慮が必要です。また、十分な睡眠時間を確保し、静かに休める場所を提供しましょう。

8. 歯磨きで口腔内を清潔に保つ

歯磨きも忘れてはいけない日常ケアです。歯周病は口臭や歯の痛みだけでなく、細菌が血流に乗って心臓や腎臓に悪影響を及ぼすこともあります。できれば毎日、少なくとも週に数回は歯磨きを行いましょう。歯磨きが難しい場合は、デンタルガムやデンタルケア用のおもちゃを活用することも有効です。

9. 爪切り・耳掃除・肛門腺ケアも定期的に

爪切りや耳掃除、肛門腺絞りなども定期的に行いましょう。これらのケアを怠ると、炎症や感染症の原因になることがあります。自宅で行うのが難しい場合は、トリミングサロンや動物病院でお願いすることもできます。

10. 毎日の観察で早期発見を

飼い主様が日常の変化に気づく観察力も、愛犬の健康を守る上で非常に重要です。毎日の食欲、排泄の状態、歩き方、表情、被毛の艶などを観察する習慣をつけましょう。「いつもと違う」という小さな変化に早く気づくことで、病気の早期発見につながります。

11. 体重管理で健康を維持

体重の変化にも注意を払いましょう。急激な体重減少は病気のサインかもしれませんし、肥満は多くの健康問題のリスクを高めます。定期的に体重を測定し、適正体重を維持することが大切です。

12. スキンシップで変化を見逃さない

触れ合う時間を大切にすることも、健康チェックの一環です。撫でたり抱っこしたりする際に、体の異常(しこり、腫れ、痛みなど)に気づくことができます。また、愛犬とのコミュニケーションは精神的な健康にも良い影響を与えます。

まとめ|「犬の元気がない」ときは早めの相談を

犬が元気のない原因は、一時的な疲労から命に関わる重篤な病気まで、実に多岐にわたります。軽度のストレスや疲労であれば自宅での休息で回復しますが、感染症、消化器トラブル、痛みを伴う疾患、神経系の異常、震えを伴う状態など、専門的な診断と治療が必要なケースも少なくありません。

大切なのは、愛犬の状態を冷静に観察し、適切なタイミングで動物病院を受診することです。自宅で様子を見る時間が長すぎると、病気が進行し、治療が難しくなったり、後遺症が残ったりすることもあります。「様子を見すぎて手遅れになった」という事態は、できる限り避けたいものです。

特に、元気がないことに加えて他の症状が見られる場合、24時間以上改善しない場合、子犬や老犬の場合は、早めに受診することをおすすめします。また、持病のある犬や、何か異常を感じた場合も、遠慮なく動物病院に相談しましょう。

動物病院では、詳しい問診と身体検査、必要に応じた各種検査によって原因を特定し、適切な治療を提供します。早期に診断を受けることで、多くの場合、速やかに回復することができます。

日頃から、バランスのとれた食事、適度な運動、定期的な健康診断、予防接種といった基本的なケアを行うことで、多くの病気を予防することができます。そして何より、飼い主様が愛犬の日常の変化に気づき、小さな異変も見逃さない観察力を持つことが、愛犬の健康を守る最大の武器となります。

オダガワ動物病院では、犬の元気がないというご相談にも丁寧に対応しています。「こんなことで病院に行ってもいいのかな」と迷われることもあるかもしれませんが、どんな小さな心配事でも遠慮なくご相談ください。電話での相談も受け付けていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

愛犬の元気な姿を取り戻し、飼い主様が安心して過ごせるよう、私たちが全力でサポートいたします。

よくある質問

Q. 犬が一日中寝ているのは病気ですか?

犬は人間よりも睡眠時間が長く、成犬で一日12時間から14時間、子犬や老犬ではそれ以上眠ることもあります。これは正常な範囲です。ただし、いつもより明らかに活動量が減っている、呼びかけても反応が鈍い、食欲がない、といった変化が伴う場合は、何らかの異常がある可能性があります。睡眠時間だけでなく、起きているときの様子や他の症状も総合的に判断しましょう。

Q. 犬が震えているけど元気はある場合は様子を見ても大丈夫ですか?

小型犬は寒さや興奮で震えやすい傾向があります。暖かい場所に移動させて震えが止まる、食欲があり普段通りに動ける場合は、一時的な震えである可能性が高いです。ただし、震えが長時間続く、徐々に悪化する、他の症状も出てくるといった場合は、痛みや病気が隠れている可能性があるため、動物病院を受診してください。特に、震えとともに嘔吐や下痢、ふらつきが見られる場合は、早急な対応が必要です。

Q. 夜間に犬の具合が悪くなった場合はどうすればよいですか?

立てない、呼吸が苦しそう、けいれんが止まらない、大量の出血があるといった緊急性の高い症状がある場合は、夜間救急対応の動物病院を探して受診してください。軽度の症状で、翌朝まで待てそうな場合は、安静にして様子を見て、朝一番で動物病院に連絡しましょう。判断に迷う場合は、夜間救急の動物病院に電話で相談することもできます。

Q. 老犬が元気がないのは、年齢のせいだと諦めるべきですか?

「年だから仕方ない」と諦める必要はありません。老犬でも、適切な治療やケアによって生活の質を大きく改善できることは多くあります。関節痛には鎮痛薬やサプリメント、認知機能の低下には生活環境の工夫や薬物療法など、さまざまな選択肢があります。老犬だからこそ、定期的な健康診断と早めの対応が大切です。愛犬が快適に過ごせるよう、獣医師と相談しながらケアを続けましょう。

この記事を書いた人

鈴木 透

1959年生まれ。 1984年に北里大学獣医畜産学部獣医学科を卒業。学生時代から動物の病気や治療に強い関心を持ち、獣医師としての知識と技術を深めるべく、1986年には同大学大学院獣医畜産学部獣医学専攻を修了。大学院では小動物の臨床研究に携わり、実践的な診療スキルと基礎医学の両面から専門性を高めた。 その後、日本獣医生命科学大学にて研究生として在籍し、さらに高度な専門知識と研究経験を積む。臨床現場と学術の両方での経験を活かし、1991年、地域に根ざした獣医療を提供するために「オダガワ動物病院」を開設。以降、30年以上にわたり、飼い主と動物の信頼関係を大切にした診療を心がけ、多くの症例と向き合ってきた。