子犬の急な下痢 |検査でわかった意外な原因【診断カルテ】

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飼い主の視点から

「昨日まで元気いっぱいだった子犬が、急に下痢になってしまいました。」
そんな状況に直面すると、多くの飼い主さんは不安でいっぱいになります。今回ご紹介するのは、川崎市で暮らすご家庭の子犬の症例です。夜間に急な下痢で受診し、翌朝オダガワ動物病院に来院されたケースをもとに、検査から診断・治療、予防の流れをご紹介します。

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犬の下痢で行う検査とは?

来院時にはすでに下痢は止まっていましたが、再発や感染症の有無を確認するために糞便検査を実施しました。

ウサギの酵母菌

検便で「ウサギの酵母菌」が確認されました。これは犬でも時々見られるものですが、重度の下痢を引き起こすことはあまりありません。

ジアルジア抗原検査

続いて「ジアルジア」という原虫の検査を行いました。ジアルジアは子犬の下痢の原因として非常に多い寄生虫ですが、通常の顕微鏡検査では見つけにくい特徴があります。そのため、抗原検査や遺伝子検査が有効です。
本症例では遺伝子検査で陽性が確認されました。

ジアルジアとは?

ジアルジアは原虫(小さな寄生生物)による感染症で、子犬の下痢の原因として比較的よく見られます。

ただし、特徴として

・顕微鏡での便検査ではなかなか発見されにくい
・専用の抗原検査や遺伝子検査が必要

という点があります。

診断と治療方針

ジアルジアは下痢の原因となる一方で、一時的に便が正常化することもある寄生虫です。
今回は来院時点で便が正常だったため、駆虫薬(寄生虫を駆除する薬)の投与は見送りました。
ただし、ジアルジアは1年程度で自然に免疫によって治癒するケースもありますが、近年は人に感染するリスクも指摘されており、治療を積極的に行う獣医師も増えています。

予防と日常で気をつけたいこと

ジアルジアや他の下痢を防ぐためには、日常生活での環境管理が大切です。

・定期的な便検査を受けること

・多頭飼いの場合は特に感染が広がりやすいため、早めのチェックが重要

・下痢が続く場合は早めの受診が安心

・生活環境を清潔に保ち、拾い食いなどを防ぐ工夫も大切

まとめ:犬の下痢は早めの受診が安心

今回の子犬は幸い症状が軽快していましたが、ジアルジアなどの感染症は放置すると繰り返す下痢や体重減少につながることもあります。
「様子を見てもいいのか、それとも病院に行くべきか…」と迷ったら、早めに獣医師に相談することが大切です。

川崎市・登戸エリアで犬猫やエキゾチックアニマルの診療なら

オダガワ動物病院(川崎市多摩区 登戸)は、犬・猫だけでなく、ウサギ・ハムスター・フェレット・鳥などエキゾチックアニマルにも対応しています。ペットホテルやトリミングも併設し、地域の皆様の総合的なペットケアを行っています。

・小田急線・登戸駅からアクセス便利
・犬の下痢や嘔吐など消化器疾患の診断・治療に対応
・定期的な健康診断・検便での予防にも力を入れています

愛犬の下痢や体調変化が気になるときは、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

鈴木 透

1959年生まれ。 1984年に北里大学獣医畜産学部獣医学科を卒業。学生時代から動物の病気や治療に強い関心を持ち、獣医師としての知識と技術を深めるべく、1986年には同大学大学院獣医畜産学部獣医学専攻を修了。大学院では小動物の臨床研究に携わり、実践的な診療スキルと基礎医学の両面から専門性を高めた。 その後、日本獣医生命科学大学にて研究生として在籍し、さらに高度な専門知識と研究経験を積む。臨床現場と学術の両方での経験を活かし、1991年、地域に根ざした獣医療を提供するために「オダガワ動物病院」を開設。以降、30年以上にわたり、飼い主と動物の信頼関係を大切にした診療を心がけ、多くの症例と向き合ってきた。